こんにちは!関西・大阪の水泳個人レッスンStudio Swimmyの板東です。
先日にインスタグラムのストーリーズにて、このような投稿をしました。
いつもより多くの反応をいただき、改めて皆さんの関心がとても高いことが伺えました。
僕自身、現在も委託先のスイミングスクールで子どもたちとの関わり合いがあるだけに、他人事ではないと感じています。
現場は違いますが、プールという場所で「確認」を怠ると、最悪の場合、子どもが溺れていても気づかないことがあります。
年齢が低いお子さんほど、危険な”コト”や”場所”に対するアンテナがまだまだ未熟で発達していません。
いくら足が届くようなところでも滑ってコケてしまったり、よそ見をして思わぬタイミングで深みにはまったりなど、溺れる可能性が高いです。
そういったことが起こらないようレッスンでは、泳げるようになるためのスキル習得のみでなく、子どもたちが危ないと感じることへの対処法も伝えています。
でもスイミングレッスンでは、どんなところに危険が潜んでいるのかって、素人目には分かりづらいところもあると思うんです。
そこで今回はプールではどんなところに危険が潜んでいるのか?
現役スイミングコーチが経験から得た知見をもとに話したいと思います。
スイミングスクールで子どもたちが安全に楽しくレッスンを受けてもらうためにも、記事を読んで頂いている皆さんが何か考えるキッカケになれば幸いです。
子どもたちが見ている景色
特に溺れる可能性の高い未就学児とのレッスン(アームヘルパーなし)を想定して話していきます。
下の動画は、レッスンの一例としてセッティング(台の配置)をしたものです。サーキット形式で、ぐるぐると行います。
施設によっては観覧席とプールのある階が違うこともありますが、保護者の方や監視スタッフからはこのような全体の景色が見えているかと思います。
では、実際に運動を行っている子どもたちの目にはどのような景色が映っているのか?
確認してみましょう。
身長によっては、見え方がもう少し低いかもしれません。ですが、こんな景色が子どもたちの目には映っています。
おそらくこのような視点を見たことがない方がほとんどかと思いますが、どんなところが危険だと感じましたか?
次の話では、そのあたりを深掘りしていきたいと思います。
どこが危険だと感じましたか?
下の動画は、先ほど説明で使用したものと同じものです。このセッティング(台の配置)の場合、子どもたちにとってどこが危険だと思いますか?
今回のセッティングの場合だと、3つの気をつけないといけないポイントがあります。
①青で囲った赤台の坂道
②緑で囲った穴がある場所
③黄色で囲った赤台の外側
なぜ気をつけないといけないのか?
それぞれ順番に解説していきます。
①青で囲った赤台の坂道
坂道は降りていく勢いで足を滑らせてしまう可能性があります。子どもによっては、平坦な道だと勘違いしてしまい、ハイハイで移動しようと深みにハマることもあります。
パッと見では坂道になっていると分かりづらいので、注意するポイントとして挙げられます。
②緑で囲った穴がある場所
②赤台がなく足がつかない場所のため、ここも気をつけないといけないポイントです。
水に慣れている子どもほど、手を離して泳いだりしようと試みます。チャレンジ精神があることは良いことですが、目を離した隙に何が起こるかわかりません。
練習の一環として横のカニさん歩きをしてみよう!と指示しても、その通りにするとは限らないので、こちらも気をつけないといけない部分にあたります。
③黄色で囲った赤台の外側
③特に気をつけないといけない部分にあたります。
深みのある場所から落ちないよう、横のカニさん歩きを終えた後は『大丈夫だった〜』と安心感があります。
安心感があるということは油断しやすい場面でもあるということです。
注意を欠かないよう気をつける必要があります。
プールによって使用する台の大きさや使用できる台の数は違いますし、コーチの考え方によってもレッスンの進行の仕方が変わります。
今回の話の一例のように、どのスイミングもレッスンをしているわけではありません。
ですが、プールでは楽しく練習をしていく上で気をつけないといけないポイントがこのように多くあります。
危険な場所をあえてつくる理由
ここまで読むと、スイミングスクールでは楽しくレッスンをしていく中で、こういった危険も隣合わせで行っているのがわかるかと思います。
じゃあ、それだったら最初から危険な場所なんか作らなかったらいいんじゃないの?
って思うかもしれません。
でも、それだけではあまりよくないんです。
冒頭でも話したように、水泳のレッスンは泳ぐためのスキル以外に、どこが危険なのか?危ないところはどうやって対処すれば大丈夫なのかを学ぶ場でもあります。
危険察知能力や子ども自身の対応力を養うことで、水の中での自立を促します。
料理をするときにいつかは包丁を使うように、危ないからといって使わせないのではなく、どのようにすれば安全に扱うことができるのか?
こういった考え方は、水泳でも同じことが言えます。
当然子どもたちのステップによって行う運動や難易度が変わりますが、なんでもかんでもお手伝いをしたり、安全なことだけをさせればいいというわけではありません。
多少危険が伴うことも、やり方によっては安全に楽しく行うことができるということを学ぶことで、子どもたちの応用力も身に着きます。
経験上、こういったことが川や海へ遊びに行ったときや、水泳の授業などに大いに役立っていると感じています。
危ないような場面に遭遇した時でも正しい判断ができるからこそ自分の力で解決、そして対応がしやすくなります。
あくまでも、いちコーチの考えや意見に過ぎないですが、背景にこういった考えを持ってレッスンに取り組んでいるんだなと知って頂けたら幸いです。
安全にレッスンを行うために僕たちができること
安全にレッスンを行うためには、コーチや監視スタッフ内の協力体制や環境作りが要になります。
ですが、お子さんにとって観覧席で見ている親御さんは、些細な様子も気づいてくれるコーチでもあります。
親御さんにできることも書いてみましたので、そちらも参考にしてみて下さい。
ここからは事故が起きないようにするためにできることを”コーチ”と”親御さん”の立場からパターン別に話していきます。
コーチの場合
日頃のレッスンを振り返って、確認してほしいポイントが大きく2つあります。
①子どもたちを全体見渡せる立位置にいるかどうか?全体を見渡すように動けているか。
②目を離した時には、点呼を取るようにしているか?
細かいところを挙げればキリがないので今回は割愛しますが、主にこういったポイントは押さえていてほしい部分です。
自分の視界から子どもたちがいなくなった時には、もう何が起こっているかわかりません。
子どもたちとコミュニケーションを取る時には視界が必ず狭くなりやすいので、そんな時でもできるだけ全体を見渡しやすい位置で話せるといいですね。
その上で、子どもたちが全員ちゃんとプールにいるかどうかを確認するために、自分の中で点呼を取ること。
こういった取り組みが、事故を未然に防ぐことに繋がると感じています。
少人数のときほど「今日は余裕を持ってレッスンをしやすい」と油断しやすいです。
どんな人数でも、小さな子どもたちと向き合う限りは危険がつきまといますので、気を緩まないようにしましょう。
観覧席で見ている親御さんの場合
もし子どもが危ない場面に合いそうになったときは、ジェスチャーで「危ないよ!」と手を振ったり、両手の手のひらを見せるようにストップの合図をしてあげてください。
子どもは頑張っている姿をお父さんやお母さんに見てほしいので、チラチラ様子を伺っています。
気づいてくれた!とこどもが喜んだ時には、目の前の危険ががすぐそばにあることを忘れやすくなってしまいます。
そういった時に、お伝えしたようなコミュニケーションの取り方が有効になりますので、お試し下さい。
そして万が一、子どもが溺れているところを発見したときは
大きな声を出して知らせること、大きな音を立てるように窓を叩きながら子どもに指を指してコーチに合図してください。
担当コーチが、子どもが溺れていることに気づいていない場合は1秒を争います。最悪の事態にならないようにするためにも、勇気を持って知らせて下さい。
施設によっては、観覧席にプール内に危険が起こっていることを知らせるボタンがあるので、すぐに押すようにしましょう。
皆さんの判断1つで大事な命を助けることに繋がります。
ちなみにスイミングスクール内で起こる「溺れる」というのは、子どもがとっさに起きたアクシデントに対応できない時に起こりやすいです。
・よそ見をして深みにハマる
・段差につまづく
・コケた時にうまく立ち上がれない
など
水に慣れていない子どもほど、一瞬でとても焦る素振りをします。
ただ、水の中で遊んでいる場合もあるので、適切な判断を下すのが難しいところでもありますが
手を慌てて上に伸ばしていたり、何か掴めるものがないか、焦って周りをキョロキョロするような素振りがあれば溺れていると判断して頂けたらと思います。
判断基準として参考にしてみて下さい。
あとがき
せっかく習い事として、水泳を選んでくれたからには安全に楽しく過ごしてほしい。そんな思いから、今回は書いてみました。
水泳は水の中で行うスポーツなので、特性上やはり危険が伴います。楽しむためには安全管理は欠かせません。
僕たちコーチ側は親御さんの信頼を得て、大事な命を預からせて頂いているということを忘れないこと。
事故やケガが起きない前提があるからこそ、楽しいレッスンに繋がっていきます。
子どもたちの笑顔を絶やさないようにするためにも、僕自身も改めて気を引き締めて指導にあたっていかなければと思いました。
途中でもお伝えしたように、あくまでも現役スイミングコーチの1つの視点や考えに過ぎないですが、今回の記事が新しい視点や気づきに繋がれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。